真のウール100%を求めて

天然素材であるウールはアウトドアウェアとしては優れた選択肢だと考え、STATICでのウール製品の可能性を広げるためにウール生地の生産地である愛知の尾州を訪ねた際のこと。

そこで、これまでにない優しくふんわりとしたタッチのウール製品に出会いました。早速着てみると極上の気心地。正直、これまでのウール製品との差がありすぎて、本当にウールなのかと疑ったほど。これは、じつは防縮をしていないウール生地を使ったものでした。さらに染色もしておらず、本来のウール繊維が肌に触れるという事はこんなに優しいのかと感動しました。

ただ、防縮をしていないという事は、洗濯毎に縮んでいくため、日常着として気軽に着用することは難しく、さらには無防縮・無染色の生地を仕立てる生地屋さんはもう既に廃業されているとのこと…

それがRAWを企画したきっかけです。

防縮加工とは?

ウールウェアに欠かすことができない防縮加工。
一般に普及している「塩素樹脂加工」がコスト面に優れる一方、防縮工程で環境に悪影響を与えるとされる有機塩素化合物を排出する点、繊維を樹脂で覆うことを知り、違和感を覚えました。

塩素樹脂加工では、撥水機能と調湿機能を持つウール繊維表面のウロコを除去します。つまり、防縮する事で、ウール繊維の機能性を減退させることに繋がります。さらにナイロンなどの樹脂で繊維を覆う事でウールの機能性を低下させるのではないか?生分解性への疑問も頭をもたげます。また、樹脂の影響で使用ごとに生地が堅くなるという話も聞きました。

ウロコを残す防縮はないのか?樹脂を使わない防縮はないのか?

環境にやさしい防縮加工"ラバーレ加工"

そして出会ったのが、ラバーレ加工です。

この防縮ではウロコを除去せず、疎水性のウロコを親水性に改質し、ハイブリット・コラーゲンを付着させてウロコ同士が絡む=縮むことを防ぎます。また、樹脂を使いません。

できるだけウール繊維をそのまま活かしたエコな防縮であると言えます。生分解性においても塩素樹脂加工と比較して安心感がありますし、肌に触れる生地は樹脂ではなくウール繊維のみです。また、ウールの調整性を司るウロコを残している事で、ウール繊維本来の機能をそのまま活かしたウール製品を実現する事ができました。

「塩素を使わないので、従業員の健康にとっても安心だ」と、話してくれたラバーレ加工を施す防縮工場の開発者の言葉も忘れられません。

樹脂を使わないラバーレ防縮加工を施したRAWは「RAW(Real Activated Wool) =真の機能を発揮するウール」と銘打ち、最高峰の「ウール100%」の生地と自信を持って言えます。